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伊藤レナの「韓国現代アートの散歩道」
美術館の風景in SOEUL 文/伊藤レナ 国立現代美術館
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ナム・ジュン・パイクのビデオタワーの圧倒的パワーに魅せられて
ナム・ジュン・パイクのビデオタワーの圧倒的パワーに魅せられて
ビデオタワー 美術館に入るとすぐ、ナム・ジュン・パイクのビデオタワーが目に飛び込んできます。これは今回の旅で私が一番楽しみにしていた作品。日本人が世界に誇る歴史的建造物、金閣寺!の如く、パイクのビデオタワーは韓国人アーティストの世界的な成功を自負するが如く、ピカピカと光を放ち、天高くそびえ立っています。そして、モニターが積み重ねられることによって形成されるタワーは、圧倒的存在感を放ち、全世界をも征服してしまうかのような「メディア」の美しく、かつ恐ろしくもある強大なパワーを感じさせます。動めく幾つものモニターの内部を見つめていると、もしかしたら私たちの存在するこの世界すべて、このモニターの内部に取り込まれてしまうかもしれない。いや、本当の世界はこのビデオタワーの内部にあるのかもしれない。本物は、あちら側なのか、こちら側なのか……。そんな思いに駆られます。

大らかなソウルっ子たちと「現代アート」との交流
 私がパイクのアートとそんな哲学していると、私の横を小学生くらいの子供たちが楽しそうに駆け回っている。そして、タワーをポカンと口を開け長時間眺めている子供もいれば、好奇心から作品のモニターに手を触れようとする子も……。彼らにとってアートに哲学は必要ない!
 そう、ソウルの美術館では子供を多く見かけるのです。私がソウルを訪れたのが夏休みに重なっていたためもありますが、それにしても多い!
ソウルっ子たち  美術館に子供がいる風景はさほど珍しいことではありませんが、大人でも難解とされる「現代アート」を見に子供たちが美術館を訪れるというのは少し珍しいような気がします。子供たちは、ひとつひとつの展示作品を丹念に「鑑賞」しているというわけではなく、まるでテーマパークに来ているような感覚で美術館という空間そのものをエンジョイしているのです。
私は、韓国では休日に家族で遊園地に出かける感覚で美術館を訪れる……そんな印象を持ちました。
 韓国人の大らかな気質は、“敷居が高い”と思われがちな美術館という場を、誰もが“自由にエンジョイできる”場にしてしまうのでしょうね。
 こんな大らかな雰囲気の中で、美術を「頭」や「知識」ではなく、「身体」と「感性」で感じ取るかのような子供たちの姿に、私はとても好感を持ったのでした。

伊藤レナさん プロフィール
伊藤レナさん伊藤レナ
明治学院大学大学院修士課程・美術史学専攻。 専門は、日本近世(江戸時代)絵画。特に18世紀京都画壇で活躍した伊藤若冲を中心とした研究活動を行う。その他、古今東西の美術、また美術に限らず、映画、演劇、音楽、文学など幅広く芸術全般に関心を寄せ、ジャンルに拘らず面白いものには接近する。
韓国現代アートに関しては門外漢であるが、既成概念のない視点とちょっぴりミーハー感覚でフレッシュなリポートを試みる。韓国現代アートを通して韓国の「いま」が見えてくるのではないだろうか。
論文:「若冲についての覚書―「動植綵絵」中の4作品のルーツを探る」
明治学院大学大学院文芸術学専攻紀要『bandaly』第1号、2002年3月
e-mail:rena@bg7.so-net.ne.jp
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